フリーランスとしてお金を受け取る場合、すべての入金が売上や雑収入のような収益になるわけではありません。
収益になるもの、ならないものをきっちり分けておくというひと手間は必要です。
収益にならない入金
フリーランス(個人事業主)の経理で独特なのは、売上などの収益につながる入金とそうではない入金があるという点。
たとえば、仕事の口座に入金があれば、それを雑収入にしている、あるいは売掛金の入金として処理し、それ以前に売上を立てているはずです。
ただ、仕事の口座へ入金がであっても、雑収入など売上扱いにしないものもあります。
たとえば、預金利息。
仕事用の銀行口座なので、仕事に関係するといえばそうなのですが、売上扱いにはなりません。
フリーランスの税金のルールでは、利子は「利子所得」。仕事の事業所得とは別扱いです。
この利息。
通帳に入金された時点で、実は税金が引かれているので、利子所得としての確定申告も不要です。
こういった入金があったら、「事業主借」で処理します。
仕訳で表わすと、借方:預金 貸方:事業主借 です。
「事業主借」は、仕訳でいうところの右側(貸方)に書く科目ですが、収益ではないので税金にも影響しません。
プライベートからの入金は事業主借
この「事業主借」。こういった場面で使います。
・プライベートのお金を仕事の口座に入金した
・仕事の口座にプライベート絡みの入金があった
・仕事の口座に税金の還付(戻り)があった
・仕事に使うサービスやモノをプライベートのお金で支払った
最後の「経費になるものをプライベートのお財布から払った」については、「払ったのに、なぜ入金?」と思われるかもしれません。
これは、”プライベートのお財布から”、”借りたお金で”、”経費になるものを買った”」と読み替えるイメージです。
“プライベートのお財布から”
↓
“プライベートのお財布から借りたお金で”
というように。
わかりにくいかもしれませんが、
・仕事の口座に仕事に関係しない入金があった
・(経費にならない)税金の還付(戻り)が仕事の口座に入金された
という場合には、仕訳の 右側で「事業主借」を使います。
フリーランスに特有な事業主貸と事業主借
いっぽうで、似たような科目に「事業主貸」があります。
事業主貸は、
・プライベートのお財布に入れるお金を仕事の口座から引き出した
・プライベートの支払いを仕事の口座から支払った
・(経費にならない)税金を仕事の口座から支払った
という場合に使います。
この事業主貸。
前述の事業主借と似ているので、事業主借とすべきところを事業主貸にしていた、あるいはその逆ということがあります。
厳密にいえば違うわけですが、事業主貸と事業主借は、その年の控除前利益や元入金と相殺されて翌年の期首の元入金になります。
なので、事業主貸と事業主借を間違えていたとしてもそれほど問題ではありません。
ただ、事業主貸は(仕訳の)左側、事業主借は右側とだけ覚えておくと間違いも減らせます。
それよりも注意しておきたいのは、収益の科目と間違えないということ。
・雑収入とするべき収益を事業主借にしていた
・事業主借とするべき入金を雑収入にしていた
となると、これは会計の間違いというだけではなく、税金の計算も間違うことになります。
事業主借と事業主貸。フリーランスに特有な科目でもあるので注意しておきましょう。