個人事業を開業したらやるべきことはたくさんあります。
その中から厳選して3つのやるべきことについて書いてみました。
開業したらこれだけはやるべき
個人事業を開業したらやるべきことは、
- 開業届を税務署に出す
- 経理をはじめる準備
- お金を管理する
大きくわけてこの3つです。
どちらも絶対にやるべきです。
やらなかったときのデメリットは図り知れませんし、やってときのメリットが大きいです。
開業届の提出
開業届を出さなくても事業は始められるわけですが、絶対に出すべきです。
出さなければ、青色申告の税金が優遇されるメリットが受けらませんし、屋号つきの銀行口座やクレジットカードもつくれません。
小規模企業共済に加入する場合でも、開業1年目でまだ確定申告していなければ、確定申告書の控代わりに開業届の控の提出が必要です(参考 小規模企業共済への加入手続)。
開業届を出すこと自体はむずかしいことはありませんから、出しておきましょう。
通常は、開業届(正式には「個人事業者の開業・廃業届出書」)とセットで
- 青色申告承認申請書
従業員を雇うのであれば、
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 給与支払事務所等の開設届出
- 源泉所得税に納期の特例の承認に関する申請書
もセットで一式提出します(参考 国税庁サイト)。
なお、「青色事業専従者給与に関する届出書」は、奥さん(旦那さん)などの家族に支払う給料を経費にできる届出です。
ただ、何でもかんでも経費になるわけではありません。
給料ですから、ちゃんと事業を手伝うことが必要ですし、不相当に高すぎる給料は経費として認められません。
また、「源泉所得税に納期の特例の承認に関する申請書」は従業員(青色専従者とする家族を含む)に支払う給料から予め所得税を差しいて税務署に納める回数を年2回(7月、1月)だけとする申請書です。この申請をしなければ、原則どおり毎月納めなければならならず、けっこうな手間となりますので、従業員を雇う場合はこの申請書も忘れずに出しましょう。
経理をはじめる準備
開業届の関係は提出すれば終わりですが、それよりも大切なのは、これからはじめることになる経理のことです。
個人事業をはじめることになれば、確定申告をして納税しなければなりません。
そして確定申告するには、売上と経費、そこから差引きして計算した利益を把握する必要があります。
ただ、経理をすることの本来の意味は、事業としてはじめたビジネスがうまくいっているのか、どうなのかを客観的な数字でチェックすることです。
よく「確定申告のために経理しなきゃ」と耳にしますが、順番が逆です。
事業の業績を把握し、それに見合った税金を納めるのが確定申告です。
経理をはじめる理由を確定申告のためと考えてしまうと、ただでさえ面倒な経理が余計に嫌になってしまいます。
ご自身ではじめた事業がうまくいっているのかを感覚だけでなく、数字で把握する。そのための経理だと考える習慣を身につけましょう。
では唐突ですがひとつ問題です。
事業をはじめたあなたは、タリーズでコーヒーを買ったとします。
このコーヒー代は経費でしょうか?
正解は、
「これだけではわからない」
です。
プライベートで家族と行ったのなら、経費ではありませんし、
仕事の打ち合わせで使ったのなら、経費です。
このように、同じコーヒーを買ったでも、経費になるものもあれば、ならないものもあるのです。
確定申告の間際になって、「何のためのコーヒー代だったっけ?」となるのは避けなければなりません。
個人事業の経理とは言い換えれば、お金の管理をきちんとするということなのです。
そのためにも仕事とプライベートのお金はごちゃ混ぜにせず、きちんと分けておくのがポイントです。
お金の管理
では仕事とプライベートでどのようにお金を分けるのかですが、
結論からいうと、口座を使い分けるのがシンプルでわかりやすくなるのでおすすめです。
銀行口座であれば、事業のためだけの口座をつくりましょう。
口座名に屋号の名前がついていても、いなくても、口座を分けられればどちらでも問題ありません。
クレジットカードも、事業用のカードを新しくつくりましょう。
もともと持っている銀行口座やクレジットカードを事業でも使うという方法はおすすめしません。
簿記の知識がそれなりにあれば別かもしれませんが、経理の難易度と手間を考えるとおすすめできません。
口座を分けたうえで、売上から入ってくるお金は事業用の銀行口座に入金されるようにし、
経費をクレジットカードで決済するものは、事業用のクレジットカードで支払います。
残りのお金(利益)を生活費としてプライベートの家計口座へ移すようにするのです。
こうすることで、事業用の銀行口座は、
・入金・・・売上で入金されたお金
・出金・・・経費で支払ったお金+生活費として家計へ支払ったお金
・残高・・・事業でもうかってるかどうか
というように一目瞭然にできるのです。
プライベート用の口座残高も、生活費でいくら使ったかがわかります。
口座を使い分ければ、事業がうまくいっているのか、生活費を使いすぎてないかがわかるようになるので、おすすめです。
はじめが肝心。税理士に相談するべき
開業すれば、やることは山ほどあります。とくに1年目は。
届出関係や経理と確定申告、お金の管理はつい後回しになってしまうかもしれません。
ただ、1年目は事業がまだ軌道にのらずに赤字になることも多いです。
たとえば、
1年目の赤字△100万円
2年目の赤字△50万円
3年目の黒字+200万円
だったとして、1年目から青色申告をきちんと申請していれば、赤字△200万円は3年目の黒字と差引きできますが、これを2年目に申請してしまえば、1年目の赤字はそれで完結してしまいます。
期限までに申請していなかったとしたらそれは非常にもったいないはなしです。
開業1年目はなにかとお金がかかり、税理士へお金を払う余裕がないのは致し方ないことです。
ただ、何事もはじめが肝心です。青色申告のメリットでもそうですが、多少のお金を払ってでも一度は相談してみる価値はあります。
そのお金以上に、あとあと損をしてしまうというのは避けたいところ。
顧問契約だと毎月数万円はかかってしまいますが、中にはスポット(単発)で相談を受けている税理士もいらっしゃいます。
経理をはじめる準備やお金の管理なども相談にのってくれます。
まずはそういったところに一度相談してみるがいいでしょう。